円満夫婦ではなかったので
しかしそんな願いも瑞記には届かないようだ。怒りの感情を漲らせていた彼が突然にやりと笑ったのだ。
何かを企んでいそうなその表情に、嫌な予感がこみ上げる。
「まあいいよ」
「いいって、何が?」
あれほど離婚しないと騒いでいたのに、この突然の心変わりはなんだろう。
訳が分からず戸惑う園香に、瑞記は嫌な笑顔を向ける。
「園香は知らないみたいだけど、離婚は一方が希望するだけじゃ出来ないんだ」
「え?」
「だからいくら離婚したくても、僕が同意しないと無理なんだよ。分かった?」
まるで小さな子供に言い聞かせるような口ぶりだ。
「……適当なことを言ってるんじゃないの?」
「まさか。園香こそ離婚離婚言ってるくせに、法律も調べてないのか?」
馬鹿にしたような口調を無視して、園香は目を伏せた。
瑞記の言う通り、離婚に関する法律を調べていないのだ。
(有責側は離婚を拒否できないって聞いたことがあるけれど)
それも正しいのか確信がない。専門家ではない園香には、瑞記に反論するだけの自信がなかった。
(すぐに確認しなくちゃ)