円満夫婦ではなかったので
「そう言うわけで、僕たちの関係はこれまで通りだ」
「それは無理でしょう? 私は絶対に仕事を辞めないし、瑞記の希望通りにはならない。それでも結婚を続けると言うの?」
そもそも瑞記が今の家庭環境を嫌がったのが離婚話のきっかけなのに。
彼は明らかに不満そうに園香を見ている。
(今離婚を選んでも拒否しても、どちらにしても瑞記の思い通りにならないはず)
彼は一体どう答えるのだろう。
「そうだよ。園香が仕事を辞めなくても離婚はしない。いいな」
瑞記は予想に反して迷わず言い捨てると踵を返しリビングを出て行く。
(どういうこと?)
園香は唖然として彼が去って行くのを見送った。
(瑞記は私が働くことに明らかに不満を持って怒ってる。それなのにどうして離婚は嫌がるの?)
つい先日は言うことを聞かないと別れると脅して来たのに、今は絶対に別れないと断言した。
(ここまで急に気持ちが変わるものなの? それとも何かを企んでいる?)
その何かは予想不可能だ。そもそも園香は彼の考えを理解出来ていないのだから。
それでもこの数日の間に瑞記に変化があったような気がする。
(何が原因で変わったんだろう……)
園香は言い様のない不安に襲われた。