ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
今朝のメニューは、自家製食パン(機械が作ったのだ)のトースト、オーガニック野菜のサラダ、ポタージュスープ、ベーコンエッグ。
一緒にテーブルへ運んで、並べて、向かい合って座って。
ぽつりぽつりと穏やかに会話を交わしながら食事をとる。天気のこととか、咲いてる花のこととか、意外なことに貴志さんはそんな平凡な話題にも面倒がらずに付き合ってくれる。
2人ともそれほどベラベラしゃべる方じゃなく、ともすると沈黙する場面もあったりするのだが、驚くほど居心地は悪くない。
朝日が照らし出すその秀麗な顔立ちに、時折流れてくる柔らかな微笑や穏やかな相槌に、私が舞い上がってるだけ、かもしれないけど……。
2週間過ごしてみてわかったのは、どうやら貴志さんは朝が苦手みたい、ってこと。仕事で夜が遅いから、ギリギリまで寝ていたい、ということらしい。
完璧な副社長様にも普通な一面があったんだなぁ、なんて。
少し跳ねた彼の前髪の寝ぐせを微笑ましく眺めていたら、ふいに彼と目が合った。
「なぁオレ……本気で好きかも」
「はぃ、……へっ!?」
変な声で叫んで、ゲホゲホむせ込んでしまう私。
カプチーノをがぶ飲みしてから、「な、なんですか突然っ……」って裏返った声で聞き返せば――彼が指していたのは、手に持ったトーストだった。
「織江が作ってくれる朝ごはん。平日は和食で、週末だけ洋食っていうスタイル。すごくいいと思う」
のどかな笑顔に、ドッと全身から力が抜けた。
「あ、あぁ朝ごはん、ですか」
落としそうになったスプーンを握り直し、やれやれと冷や汗をぬぐう。
紛らわしいこと言わないでほしい。