ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「え、あの」
ね、ネトフリ?

「字幕なしな? で、途中でエンディング当てクイズ。拒否権はないぞ。居候なんだから、家主の決定には絶対服従」
「ぇえぇ?」

「アドバンテージは利用する、って言っといただろ」
「そっ、そういう意味だったんですか?」

唖然とする私をドヤ顔で見下ろし、あっさりと腕を解く貴志さん。
そしてマイバックを拾い上げると、「なぁ、オレ今日はハンバーグ食いたい」とかなんとか言いつつ、何事もなかったかのようにキッチンへ向かう。

ルイス・ブラウンと言えば……笑って泣けるラブコメで有名だよね。
まさか、私を元気づけようと、誘ってくれた……?

……あぁダメだ。
好きって気持ちが、暴走する。

今日何度目かで切なく軋んだ胸を、服の上からギュッと押さえた。

どうしてこんなに優しくするの?
ただの、遊び相手なんでしょう?
ヤるだけヤって、とっとと捨てればいいじゃない。
どうしてこんな……

溢れそうな想いをなんとか堪え、潤んだ視界にその背中を映す。


ごめんなさい。ごめんなさい。

貴志さん。
あなたが好きです。
どうしようもなく、好きで好きで……

あと少し……あと少しだけ、ここにいても、いいですか?


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