ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
そしてそれから。
縁側の下にあったサンダルに履き替えて庭へ降りた私たちは、それぞれのスマホを構えて思う存分シャッターを切りまくった。
ライトアップされた紫陽花は、昼間とはまた違った顔を見せ、花ごとに儚げな、あるいは妖艶な、様々な雰囲気を纏っている。
それをなんとか写真の中に収めたくて、近づいたり離れたり、何枚も夢中で撮って……
カシャカシャっ
ふいに、すぐそばで音がすることに気づいた。
「え、ちょ、今私の事撮りました!?」
私が叫ぶと、構えたスマホの向こうから貴志さんがニヤッと顔を覗かせた。
「織江と紫陽花な」
「わ、私なんて撮らなくていいですっ」
「なんで? 可愛く撮れてるぞ?」
「じゃ、じゃあ私も貴志さんのこと撮っていいですか?」
「ダメ」
「なんでですか?」
「男と花なんて、撮ってもつまらない」
「そんなことないですっ」
一生待ち受けにします、という本音はさすがに言えなかったが、やったもん勝ち、という感じで強引にスマホを向けて――……その手をガシッと掴まれた。
「え」
そのまま引き寄せられ肩を抱かれ、心臓がバクンと跳ねる。
「な、にっ……?」
「一緒に撮ればいいだろう」
い、一緒にっ?
嘘でしょ、いいの?
「ほら、インカメラにして」
「は、はいっ……」