ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

彼女のすべてを手に入れたいなら、選択肢は一つ。正直に想いを打ち明け、跪いて愛を乞うしかない。

ただ……最初、身体目当てのように彼女を求めたオレの言葉を、彼女が素直に受け止めて、信じてくれるだろうか?

問題はまだある。

――本当に困りますっ。私、私っ……もうすぐお見合いするんですっ。

彼女は、見合いを控えている。そして、オレも。

オレの場合は、なんとか親父を説得することはできると思うが、彼女の方はどうだろう? どの程度本気なんだ?
政略的な意味合いの強い見合いならば、オレが割り込むことも可能だろう。ただ、彼女がそれを望んでいる場合もある。あるいは、他に想う相手がいるとか……

例えばこの想いを告げたとして。
もしそれをはっきり言われてしまったら……“S”のこととか?

そういう可能性があると考えただけで、胸の奥が嫉妬で焼け焦げそうな心地がする。と同時に、他の男のことなんか考えられないくらいめちゃくちゃに抱き潰してしまいたいという醜い感情も沸く。

まさか、自分の中にこんな激しいものが眠っていたなんて知らなかった。

「……考えても仕方ないな」

受け入れてもらえるかどうかは別として、手遅れになる前にちゃんと想いを伝えなければ。

悶々と思い悩み、無駄に過ごしてしまった時間を振り切るように身体を起こす。

明後日からは1週間のシンガポール出張が控えている。
つまり今日明日の内に決着をつけないと、この気持ちを抱えたまま1週間会えなくなるということだ。とてもじゃないが、何もできる気がしない。

よし、今夜はなんとか仕事を片付けて家に帰ろう。
そして必ず告白するのだ。

覚悟に決めたオレは雑念を振り払うと、彼女に振る仕事を無理やりひねり出すためパソコンに向かった。

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