ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「キララ、感激ですっようやくこうして貴志さんと2人でお話できてっ。会社ではいろんな人が邪魔してくるから、本当にキララ悲しくて。もちろん、わかってるんですよ、みんなキララに嫉妬してるんだってこと。だって、貴志さんはみんなのアイドルですもんね。婚約者のキララが、みんな羨ましいんだわ――」

以下略。

バカバカしくて、身を入れて聞く気にもなれない。
オレは適当に聞き流し、窓の外へ視線をやった。

煌き流れていく夜の街並みが先週末の新宿に重なり――オレの思考は、無意識にあの日へと飛んでいく。

アロハシャツの男に笑いかける織江。
男が取り出した、茶封筒。
驚いて拒む織江と、受け取らせようとする男……

不潔な感じはしなかったが、アウトロータイプというか、サラリーマンぽくはないヤツだったな。フリーランス系?

パパ活って、相手はどうやって探すんだろう。
SNSだろうか……

と、その時だ。

頭のどこかで、シナプスがバチっとつながったような気がした。
火花が散った様に、一瞬だけ。

その一瞬で、閃いた。


オレはあの男を知っている(・・・・・・・・・・・・)


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