ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

トクントクントクン……、不穏に打ち続ける鼓動を抱えて見つめる先。
その大見出しには、“恋多きモデル・中条瑠衣、今度のお相手はサッカー選手”、なんて文字が躍ってる。

どういうこと? 約束したのに、今井さんと。
この号に掲載されるって。予定通りで問題ないですよって。
先週末会った時、ゲラまで見せてくれたのに。

グラリと足元がふらついた気がして、なんとか足に力を入れた。

そのまま瞬きも惜しんで隅から隅まで、小さな見出しを一つ一つ確認していくが、どこにもそれらしいものはない。アイドルの薬物疑惑とか政治家の汚職とか、どこかで見たような字面が並んでるだけだ。

「どう、して……」

音程を外した声がつぶやく。
発売日を間違えたんだろうか。来週号の予定だったとか。

乾いた喉を鳴らして、なんとか不安を飲み下す。
どうしようもなく震えてしまう手で新聞を元通りに畳むと、それを胸に抱きしめ、深呼吸した。

とにかく、落ち着こう。広告だけじゃ判断ができない。
今日本屋に寄って、買ってこなくちゃ……

もしかしたら、見出しに出てないだけで掲載はされてるのかもしれないし。
そんなことがあるのかどうか、知らないけど。

わずかな可能性に縋ってコクコク頷いた私は、よろめきつつ家の中へ戻った。

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