ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
その後は、そのことが気になって何もかも上の空。
まったく家事に集中できなかった。
「どういうことよ、あたしのゆで卵は半熟だってちゃんと言ってあるでしょ!」
「火を止めるのを忘れてたの。さっきから謝ってるじゃない」
「こんなカチカチのマズい卵、食べられるわけないじゃないっ」
「家族の好みを把握して、気を配るのは主婦の役目よ。そんなこともできないなんて、あんな名家に嫁がせなくてほんとによかったわ」
いつもは右から左に流せる嫌味に、イライラしっぱなし。
ダラダラスマホを見ていて食べ進めないキララに、思わず「遅刻するわよ」と注意してしまったくらい。
「早食いは太るのよ。貴志さんだって、美しい妻の方が嬉しいでしょ。少しくらい遅刻したって誰も文句なんて言わないわ。あたしは社長夫人になるんだもの。お姉ちゃん、あたしのことが羨ましいからって、八つ当たりしないでくれる?」
別に羨ましいと思ったわけじゃないが、八つ当たりだという自覚はあったので、口を噤んだ。
それを見たキララが、ますますいい気になるだろうなとは思ったけど。
その後も嫌味と小言の嵐をなんとか乗り越え、家族全員が食べ終わるのを待ち、後片付けを終えた時は、ぐったりと疲れ切ってしまっていた。
それでも本屋に行くという目的があったから、なんとかお茶のお稽古まで頑張った――のに。