ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「そんなみっともない話が外に漏れでもしたら、うちの信用はガタ落ちだ。絶対誰にも言うんじゃないぞ?」
「だって仕方ないじゃない、事実なんだから!」
「そうですよ、キララさんの方がふさわしいって、これ以上ない証拠になるじゃありませんか」
「とにかく、今回は織江が行くんだ。織江も、金が足りないなら足りないで、バカな真似をする前に言いなさい。わかったな? 見合いもあるし、今回限り許すことにするが」
「でも……私は……」
言葉を濁して、私は視線を揺らした。
どうすべきなのかわからなくて。
「あぁ無理無理! 耐えられない! お姉ちゃんが副社長夫人なんて!!」
その間にも義妹のボルテージはヒートアップするばかり。
「絶対認めないから! あたしも一緒について行く! ついて行って、あたしの方がふさわしいってところ、貴志さんや社長さんに見てもらうわ!」
「まぁなんて勇敢なんでしょう! その意気よキララさん。これは何かの間違いです。キララさんが選ばれないはずありませんもの」
「そうよね、お母さん!」
「そうですとも!」
手に手を取り合って頷き合う2人は、もはや誰にも止められない。
というか、正直どうでもいい。
この流れだと、どうやらお見合いには行かなきゃいけないみたい。
貴志さんは、何を考えてるの?
まさか、本気で私と結婚する気? ううん、それだけはありえない。絶対に。
となると……ただのジョーク? 社長夫妻から結婚のことをうるさく言われて面倒になって、知らない相手よりは気が楽だし会ってやるか、とか。
あるいは、その場で私をこき下ろしてやろう、くらい考えてるのかも。
どちらにせよ、彼も私も、お見合いを成功させようという気が1ミリもないことは共通してるはず。
じゃあ――……すべきことははっきりしてる。
リアルデイズの記事にも期待できなくなったことだし、残された道はたった一つだけ。私が動くしかない。
心を決めると、もう迷わなかった。
わちゃわちゃと未だ盛り上がっている家族を視界から追い出した私は、さっそく頭の中で当日のシミュレーションを始めたのだった。