ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「いつ頃から、とははっきり言えませんが私は随分前から両親と妹の金遣いの荒さが気になっていました。デパートの業績は下がってるのにおかしいなって。特に、祖父母が亡くなってからは箍が外れたようになって――」

そうして私は、語り始めた。

彼らが頻繁に出かけた海外旅行のこと、彼らが自慢した別荘やクルーザーの事。
一星で働くようになってから経費チェックの緩さに気づいたこと、それを父へ告げるも“はした金でごちゃごちゃ言うな”と一蹴され、より大規模な不正を疑うようになったこと、密かに真相を探ろうと決意したこと……

「呆れた」とキララが嗤う。

「社長なんだからお金持ってるのなんて、当たり前じゃない。自分が一緒に旅行に連れてってもらえなかったからって、妬んで逆恨みするなんて最低!」
「本当にねぇ、キララさんはよくわかってらっしゃるわ。平社員の分際で、ビジネスの何がわかるっていうのかしら」

激しく言い返したかったが、相手にするだけ時間の無駄だ。
先を進めよう。

「今から3年くらい前でしょうか。私は、取引業者との見積書や請求書、取引記録を過去にさかのぼって調べ始めました」

「なるほど、リベートを疑ったわけだな?」

はい、と私は貴志さんに頷く。
デパートは、テナント業者だけでなく施設の維持管理やイベント対応など、様々な関連業者と取引をしている。契約打ち切りをチラつかせて不正なキックバックを要求されたら、業者側は断われないんじゃないかと考えたのだ。

「でも、なかなかこれという証拠が見つからなくて……デパートの取材に来たマスコミの方――リアルデイズの今井氏と知り合って、相談を持ち掛けたのもその頃です」

そして私は、彼のアドバイスに従って業者に直接接触を始めた。

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