ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
私が調査を再開した、その情報は当然すぐに塩沢へ知らされた。
『「今度こそ彼女が二度と同じことを考えないように叩き潰す」、えぇ、確かにそう言いましたよ塩沢はね。もちろん気は進みませんでしたが、今度は報酬を払うからと言われて、ずるずるとね……』
偽の証拠から偽の誌面を作って、私に披露する。私がその気になったところで、すべての梯子を外して私だけを悪人に仕立てる――という計画を立てたのも塩沢だったという。
『これは俺の記者としてのカンですけどね、織江さんは結構ヤバい藪をつついちまったんじゃないかと思うんですよ。叩き潰しておかなきゃいけない、と思わせるような。俺の予想では、それは栄光コンサ――』
「――止めろっ!!」
ガタガタっと立ち上がった塩沢がスマホに突進したが、貴志さんの手の方が一瞬早かった。その行動を予想していたかのように落ち着いて通信をオフにする。
「これではっきりしたな。塩沢、お前は最初から織江を罠に嵌めるつもりで、今井と手を組んでいたわけだ」
断罪された格好の塩沢は、恨みがましい目をしてはいたものの、意外と冷静だった。
「私は何も、法律に触れるようなことはしておりませんよ。確かに、偽の証拠を今井に渡しましたし、彼にスパイのような真似をさせました。ですが、それはすべて心を病まれた織江お嬢様を止めたかっただけ、ですからね。私が何か、罪に問われるとでも?」
両親が露骨にホッと胸を撫でおろすのが見えて、ムカムカと吐き気がした。
私が今井さんに相談したりせず、やり方を間違えなければ、彼らを追い詰めることができたかもと思うと、余計に後悔が募った。