ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「……付き合う気満々で言うな」
がっくりと肩が落ちる。
そう、こいつはこういうヤツなんだ。
霧島侑吾、33歳。
年上の友人、と言ってもいいのかどうか。
大手建設会社の社長の三男坊で、専務を務めているんだが、その会社がうちと同じくリーズグループ系列。
その縁で昔からパーティーやらなにやら顔を合わせる機会も多く。
いつのまにか腐れ縁の幼馴染のような立ち位置になっていて。
悪戯の口裏合わせに付き合ってきた延長線上、といった感じで、頼まれればこいつの女をホテルや自宅まで送り届けたりしてきた。
副社長に就任後、しばらくは仕事だけに集中したかったし、女好きで結婚には不向きって噂が広がって、面倒くさい本気系の告白や見合い話が減るのは大歓迎、だったはずなのに……
――と、特に理由はありません。誰でもよかった、と言いますか。副社長なら、経験豊富そうだし、お一人と決めた女性もいらっしゃらないように見えたので……
あれほどいろいろ反論したかったのは初めてだ。
まぁたぶん、信じてもらえなかっただろうが。
「なぁ……バージンの女が、恋人でもない男をベッドに誘うのって、簡単なことじゃないよな?」
少し酔ったんだろうか。
控えめなライトを反射して煌くグラスを見下ろしながら、気づけばオレはそんなことをつぶやいていた。
「相手が誰でもいいとか、そんなこと思うわけないよな?」