ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

ありえない事態にモヤモヤする気持ちは落ち着かず、テンションは日々下がり続けるばかり。

そしていつの間にか、あの夜から1か月が過ぎてしまった。


「興味ありますね、その彼女。今度紹介してもらえませんか?」

「断る。口説く気だろう」

「……いやまさか。そんなことは」

「怪しすぎる()を開けるな!」


これは侑吾には言えないが……

実はなんとか彼女の視界に入れないかと、秘書室フロアをうろついてみたり、休憩室へ飲みたくもないコーヒーを淹れに行ったりもした。

けれどいつもなぜかタイミング悪く彼女とは会えないか、あるいは男性社員と親し気に話す場面を目撃したりして。

ますます悶々とした心地で過ごしていたところへ、極めつけは今日、あのニヤけた元カレ野郎の登場だ。

たまたま近くを通りかかって彼女を救えたのは、本当によかったと思う。
ただ……


――で、できましたら、記憶を早急に永久に抹消していただきたく……

――ご承知の通り、私はこの年まで男性経験がありませんでした。それで、今度お見合いをするので、その前になんとか初体験だけでもと。

――どうしてオレだったんだ?
――と、特に理由はありません。誰でもよかった、と言いますか。

彼女とのやり取りを聞かせてやると、侑吾はなるほどね、と言う風に頷いた。

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