ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「正体がバレていて驚いたということは、バラす気はなかった、その夜に特別な意味はなかった、ってことでしょう? 最初から何も要求するつもりはなく、ただ楽しみたかっただけ。トラブルの種にならなくてよかったじゃないですか。それとも、こっそりSNSで匂わせたりされそうなんですか?」
「いや……そんなことはしないと思う。あの彼女の様子からして、信じていい気はする」
「じゃあそれでいいじゃないですか」
「……まぁ、な」
やっぱり誰が考えてもそう思う、よな。
そうだ、さっさと忘れるべきだ、と。
それはわかってる。
わかってるのに……
どうしてオレは、まだこんなに彼女を気にしてしまうんだろう?
ふと気づくと、あの唇の甘さを、あの肌の滑らかさを、思い出したりして。
また触れたいと、味わいたいと――
もう一度彼女を抱けば、この渇きは消えてくれるだろうか。
「……ま、つまりは身体の相性が相当よかったってことだな」
腹の底にわだかまる熱を言い訳するように、わざとあけすけに言って、シャンパンを勢いよく喉へ送り込んだ。
「なるほど、それはなかなか興味深い――」
「男2人で、随分キワドイ話をしてらっしゃるんですね」
唐突に背後から呆れたようなソプラノが響いて、オレたちは同時に振り返った。
「ユキ」