雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「出て行って下さい」

泣き顔を見られたくなくて背を向ける。

「どうぞ。明日はお先にお帰り下さい。私は一人で大丈夫なので。映画のフィルムの事では大変お世話になりました。藤原さんに紹介してもらったし、後は一人で大丈夫ですから」

手の甲にぽたぽたと涙が落ちた。
止めたいのに涙が止まらない。

泣いているのがカッコ悪い。

もう最悪。

こんな姿、雨宮課長に見られたくないのに。

背中で失望したような低いため息が聞こえ、それから雨宮課長が部屋から出て行く気配がした。

六畳間の襖が閉まった瞬間、枕に顔を埋めて泣いた。

雨宮課長、もうハンカチ貸してくれないんだ。

見捨てられたんだ。

そう思ったら胸が張り裂ける程、痛くなった。
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