雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「もしかしてご主人ですか?」

看護師さんが雨宮課長に視線を向ける。

「いえ、まだ籍は入っておりませんので」

まだ籍が入っていない?

え、え、え!

「雨宮課長、何言ってるんですか! こんな時に冗談やめて下さい! 私は一人暮らしだし、課長とはそんな仲じゃないでしょ!」

雨宮課長が驚いたように目を丸くする。

「奈々ちゃん、どうしたの? まさか俺と一緒に暮らしている事を忘れたって言い出すんじゃないよな?」

はあ? まだ一緒に暮らしているって言うの?
お医者さんも看護師さんもいる所でそんな笑えない冗談やめて欲しい。

「私は一人暮らしです! 頭を打ったからって自分の事を忘れる訳ないでしょ!」
「奈々ちゃん、ふざけてないよな?」
「ふざけているのは雨宮課長の方です!」
「まあまあ、お二人とも」と、お医者さんが宥めるように言い、「中島さん、さきほども聞きましたが、今日の日付を西暦からお答えください」と聞かれた。

「今日は20xx年の2月14日です!」

お医者さんと看護師さんと雨宮課長が一斉に戸惑ったような表情を浮かべる。

え? 何?
私、おかしな事言った?

「中島さん、もう一度お願いします」

答えると、先生がため息をついた。

「違うんですか?」
「少し違います。2月14日は合っていますが、中島さんが言った日付は一年前のものです。今年は中島さんが言った年に一年足した数字になります」

一年違う?
どういう事?

頭の中が混乱する。
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