雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「甘い記憶って何?」

私の質問に桃子がムフフと笑みを浮かべ、人差し指でツンツン私の腕を突っつく。

「決まってるでしょ! 恋よ。恋! 雨宮課長と大恋愛をした甘ーい記憶よ」

三度のご飯よりも桃子が恋バナが好きだった事を思い出した。
この手の話題は桃子の大好物だ。

大恋愛……。
全然身に覚えがない。

「もう、奈々子、雨宮課長の事が好きで、好きで凄かったんだから」

恋愛事に関してはいつも大げさだから桃子の話は半分ぐらいで聞いておかなければいけないが……好きで好きで凄かったと言われて、頬が熱くなる。

「あんなに積極的な奈々子を初めて見た。こっそり雨宮課長とエレベーターの中で手を繋いでいるのも見ちゃったし、資料室に行った時は気まずい現場見ちゃったな。奈々子、雨宮課長に抱きついていてさ。甘えた声で『拓海さん』なんて呼んでて。私が声かけなかったらキスしてたよね」

えっ……。

エレベーターで手つなぎ、資料室で抱き着く、甘えた声で『拓海さん』。しかもキスしそうになっていた……?

嘘……。
私、会社でそんな事していたの!

ひゃー! 恥ずかしい!
それを桃子に見られていたと思ったらカウンターに頭を打ち付けたくなる。

「さらに驚いたのは」

桃子がじっと私の目を見る。
何? 何? 私、まだ醜態さらしていたの?
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