雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
阿久津部長に睨まれていた私は宣伝部からグループ会社の札幌営業所に出向になる所だったと桃子に教えてもらった。

本社に留めてくれたのは雨宮課長だった。阿久津部長と小宮部長にかけあって、雨宮課長の総務部で私を引き取ってくれたそうだ。

それから雨宮課長が久保田が起こしたトラブルの為に私と一緒に映画のフィルムを探しに仙台まで行ってくれた事も聞いた。その映画のフィルムのタイトルが「フラワームーンの願い」と聞いて、ハッとする。ちょうど今、五月の公開に向けて宣伝の仕事で関わっている。

「フラワームーンの願い」は雨宮課長の脚本で、ウエストシネマズ50周年の創立記念パーティーで、私が紹介した映画らしい。
さらには創立記念パーティーで雨宮課長が司会をしていて、かなり盛り上がったらしい。

やっぱり覚えていない。

「奈々子言っていたよ。『フラワームーンの願い』はみんなに見て欲しい、いい映画だって。それで創立記念パーティーで上映した事が切っ掛けで宣伝部に問い合わせが殺到したんだって。で、奈々子は名作を掘り起こした功績で、めでたく総務部から宣伝部に戻ったってワケ」

桃子の言葉を聞いて胸が熱くなる。

雨宮課長が脚本を書いた「フラワームーンの願い」が宣伝部に戻る切っ掛けをくれたんだ……。

私の札幌営業所行きを止めただけじゃなく、宣伝部に戻れたのも雨宮課長のおかげ。

どうしてそんな大事な事を思い出せないんだろう。
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