暑い夏は冷たい晴に恋をする


学校に行くと、一目散にこうくんと桜木さんが心配してくれた。2人とも私の大切な友達である。一生大事にする。



午後の授業には世界史があった。久しぶり、と言っても5日ぶりぐらいだけど、一瀬先生にあった。正直、朱里先生のことを思い出してしまいそうで、あまり目が合わせられなかった。


これまでにないぐらい長かった50分が終わり、安心した時だった。



「じゃあ、天野さん、渡したいものあるから、放課後準備室に来てください。」



聞き間違いだよね…?天野さんっていった?隣を見るとこうくんが「大丈夫?」と小声で声をかけてくれている。あぁ、聞き間違いじゃないんだ。


「大丈夫だよ。また課題のプリント渡したいだけかもだしね」



作り笑顔を見せると、こうくんは背中をさすってくれた。6限目の英語はいつも以上に身が入らなくて、あっという間に放課後になってしまった。


「なっちゃん」


準備室に行こうとする私にこうくんが声をかけてくれた。



「あのね、余計なことかもしれないんだけど、一瀬先生もちゃんと心配してたんだよ」



え?先生が?心配…いや、そんな期待は抱きたくない、まだ左頬にはられている小さな湿布を思わず撫でてしまう。



「何があったのか分からないけど、一瀬先生ずっとなっちゃんのこと心配してたから。だからあんまり怒んないであげて。」



怒るつもりなんてない。「大丈夫だよ」と言って、こうくんに手を振った。

こんなにも準備室に行く足取りが重い日があっただろうか。鉄のように重く感じるドアを開けると、いつものようにパソコンに向かう一瀬先生の姿があった。


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