大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした


それがきっかけで、両親や姉と離れることを決めた。大学に合格したからひとりで暮らすと宣言したのだ。
彩絵には猛反対されたが、意外にも両親が応援してくれた。

『姉妹が別々に暮らしてみるのもいいんじゃない』

姉に隠れていた妹に、ようやく自我が芽生えたのを感じていたのだろう。
幼い頃から影のように姉の後ろにいた妹が、やっと自立する気になったのだ。
彩絵はそばに妹がいなくなるとうろたえていたが、詩織はスッキリとした気分だった。

家族と距離を置いてから、詩織は少しずつ成長できたと自分でも思う。
『近藤詩織』であることが一番大切なことだと気がつくのに、ずいぶんと時間がかかってしまった。
それからは表情まで変わってきたようで、大学では友人も増えたし恋もした。

(すっかり迷いがなくなったのは、就職してからかな)

病院で様々な患者とさん向き合っているうちに、自分の悩みが小さなことに思えるようになれたのだ。



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