ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 この国では、魚釣りというのはかなり幅広い層に楽しまれている趣味なのだそうだ。
 もっとも、海辺で釣り糸を垂れるのが一般的で、漁師に頼んで船を出すのは少々お金のかかる趣味扱いだ。
 漁師の方も、船を出せばそれなりに収入になるということで、自分の仕事が終わったあとなら、船を出すのもいとわないらしい。

「魚の気配を探るのが、訓練になるっていうやつもいる」
「そうなの?」
「……さあ、そのあたりはどうなんだろうな。ほら、僕は冒険者じゃないし」

 シアは冒険者ではないし、命のやりとりをするというのは基本的にないので、イドリスの言っていることが正しいのかどうかはよくわからない。

「お、かかった!」

 それぞれ釣り糸を垂れたけれど、最初に声をあげたのはエドだった。シアの竿はぴくりともしない。

「アキ、頼む!」
「その前にちゃんと釣り上げてからでしょう」

 くい、とエドの竿が引かれるのが、シアの座っている場所からもわかった。
 かなり大物な予感。
 けれど、エドが竿を勢いよく振り上げた瞬間――宙に浮いた魚は、ぽろり、と海面に落ちた。そのまま、水の中にもぐってしまう。

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