ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 貝を皿に移しながら、イドリスは沖の方に目をこらす。

「なにか問題でも?」

 素早くシャーミルが割り込んできた。

「こっちの網も焼けたぞ――どうした?」
「悪い。なんでもないんだ。ただ、ちょっと気になって。明日、海に行ってみるよ」

 イドリスが珍しく暗い顔になる。どうしたのだろうと思ったけれど、彼はそれ以上の追及を許さなかった。
 

 * * *

 

 イドリスの別荘は、高価な品々であふれていた。
 高価なだけではなく、ちゃんと品質も伴っている。単なる金持ちではないのだと、室内の調度品からも主張しているようだった。

(なにをやっているんだろうな、俺は)

 隣の部屋には、シアがいる。
 シアとイドリス。ふたりとも女神に近い者達だ。エドにはわからないような深いつながりがあるのだろう。
 ――けれど。
 エドには今だに敬語を崩さないくせに、イドリスとはずいぶん親し気に話す。あそこまでふたりの距離が近いと思ってもいなかった。
 ふたりの間に割り込んでみても、イドリスはこちらに勝ち誇ったような目を向けるだけ。イドリスにはかなわないのだと思い知らされる気がした。

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