ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「エド、ちょっといいかな?」

 なにがあるのかと思ったら、イドリスがエドを呼びに来た。こんな風に彼が自分を呼び出すと思っていなかったから、エドの方も困惑してしまう。
 シャーミルはどうしたのだろう。イドリスだけがここに来るなんて。

「シアはもう寝たみたい。上に行こうよ。他の人に聞かれたくない話だしさ」

 イドリスがなにを話そうとしているのか疑問はあるけれど、放置しておくわけにもいかないので、おとなしくついていく。
 導かれるまま、階段を上がる。連れていかれたのは最上階――ではなかった。さらにその上、屋上だ。

「……なんだ、これは」

 我ながら、どんな感想なのだと思うが、実際口から出てきたのはこれだけだった。
 誰もいない夜の海というのは、こんなにも暗いものだったのだろうか。いつもよりふた回りほど大きく見える月が、優しい光を注いでいる。
 月の光を受け、白い波は銀色に輝いていた。まるでシアの髪のような色だと思い、慌てて視線をそらす。

「あんたさあ」

< 112 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop