ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 過去の人生では、十二で聖女の祠に入り、十八で命を落とすまで人と深くかかわり合ったことはなかった。
 シアのところに通ってくる神官は、一定期間で入れ替わっていたし、最低限の世話をしてくれた人も同じ。
 それ以外でシアの元を訪れるのは、瘴気を浄化してほしいだの呪いを解いてほしいだの――でなかったら、神殿を通さずにポーションを分けてもらえないだろうかなんてシアに持ち掛けてくる人ばかりだった。
 もしかしたら、婚約者だったジュスランよりも顔を見たことすらなかった文通相手のイドリスの方が近い存在だったかもしれない。
 今回の人生では、側仕えの人も不要と断り、マルとふたりで生活してきた。たしかに、人との関わり合いはほとんどなく、だからだろうか。こんな風にたやすく動揺してしまうのは。

「……私は、別に」

 友達なのだから、もし、結婚すると言えば笑って祝福すればいいだけのこと。

「君がそうできればいいんだけどね」

 と、マルが意味ありげに言ったのは、シアの耳には届いていなかった。

 離宮に戻ってきたシアは、入り口の前でヨアキムが立っているのに気がついた。

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