ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「わかりました! 僕、先に食堂に行っていますね」

 くるりと向きを変えて、アンセルムは執務室を出る。廊下を遠ざかる足音に耳を傾けながら、エドは小さく息をついた。

(……今のままでいられたらいいんだけどな)

 一番近しい異性の友人。ずっと、その距離を保っていられればいいという想いもあるけれど、いつまでもそんなことは言っていられないかもしれない。
 率直に言って、シアはかなりの美人だし、気立てもいいし、ポーション職人としての稼ぎもいい。〝ポーション職人のシア〟に狙いを定めている冒険者が何人もいるのは知っている。
 幸か不幸かシアは彼らの好意には気づいていないし、鉄壁の守りであるマルがすぐ側にいるので、必要以上の接触を試みる者はすぐに追いやられているけれど。
 想いを告げようとする度に、エドの口は止まってしまう。自分が今までシアにしてきたことを考えれば、友人でいられるのでさえ奇跡みたいなものだから。

「陛下、手が止まっています。こちらに目を通していただけますか」

 ヨアキムが渡してきた書類を手に取る。これが終われば昼食だ。
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