ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 ヨアキムが、鳥に向かってささやく。そして、ふっと息を吹きかけた。

(失敗、した……?)

 ヨアキムは、かなり凄腕の魔術師のはず。けれど、彼が息を吹きかけても、鳥は微動だにしなかった。
 ヨアキムは動じた様子も見せない。彼の手のひらに載せられた鳥が、月の光を受けたような気がした。
 月明かりを反射し、ゆっくりと鳥がはばたく――そして、ふわりと空中に舞い上がった。
 ヨアキムの手から空中に浮かんだところで翼をはばたかせ、その場でくるくると数度回る。やがて、行くべき方角を見据えたのか、西の方に向かって飛んで行った。

「ヨアキム、すごい!」

 アンセルムの素直な感嘆の言葉に、ヨアキムもまんざらでもないような表情になる。

「手紙にはなんて書いたんですか?」

 聞かない方がいいのかもしれないなと思いながらも、アンセルムに聞いてみる。彼は、満面の笑みを浮かべて教えてくれた。

「僕にはわからないことがたくさんあるので、いろいろと教えてほしいと書きました。母上に、直接聞くことができたらいいんでしょうけど」

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