ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「シア、変な言葉を教えないでくれ」

 エドが苦笑いした。本気で怒っているわけではなさそうだから、まあよしとしよう。
 ヨアキムも気に入ってくれているらしいし、たまにはこんな時間を過ごすのも悪くない。

(思い出は、いくつあってもいいはずだもの)

 シアは持つことすら許されなかった思い出。なんてことない日常のちょっとした思い出。
 アンセルムが大人になったいつか。ほんのりとした温かさと同時に思い出せる記憶は、どれだけ重ねても重ねすぎるということはないはずだ。

(……本当は、私のためでもあるのよね)

 いつか、エドが結婚したら。シアは、ここを離れることになるだろう。
 その時連れていく思い出は、少しでも多い方がいい。アンセルムの思い出という口実で、自分の思い出を増やしているという現実に、少しばかり胸が痛んだ。
 

 * * *



 結局、その夜は手紙の返事が来ることはなかった。次の満月まで待つ頃になりそうだけれど、待っている間にやるべきことが増えた。
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