ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 シアは、エドやアンセルムの友人ではあるけれど、友人だからといって、彼らの問題にずかずかと入り込むわけにはいかない。

(聖女って立場を利用したら、無理じゃないのはわかっているんだけど)

 可能ではあるが、シア自身がそれを望んでいるわけではない。踏み込んではいけない領域があることくらいわかっている。

「力にね、なれたらいいと思うんだけど」

 果たして、彼らがそれを望んでいるかどうか。

「シア、悪い――どこにいるんだ?」

 作ったクッキー生地をひとまとめにしたところで、聞こえてきたのはエドの声。急に心臓が跳ね上がったような気がして、シアは慌てて表情を取り繕った。

「厨房にいますー! お菓子作ってました」

 厨房から叫ぶと、エドの足音がまっすぐ迷わずこちらに向かってきた。
 シアの暮らしている離宮に、エドは自由に出入りできる。もうこの離宮のどこになにがあるのか完璧に把握しているのだろう。
 出迎えに行けばよかったな、と思い、いやそれどころではなかったな、と思い返す。

「シア、頼みがある」
「どうしました?」

 このところ、変なのを自分でもわかっている。
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