ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 エドの顔を見ると、妙にそわそわとしてしまう。
 今だって、緊張しているのに気づかれたくないと、手のひらをしきりにスカートにこすりつけているくらいだ。

「魔女が来た。シアも同席してもらえないか――その、魔女がシアに会いたいと願っている」
「来た? 来たって言いました?」

 手紙を送ったのは先月のこと。昨夜の満月の夜、返事が来たのではないかと期待していたのも本当のこと。けれど、まさかいきなり本人がやってくるとは思ってもいなかった。
 魔女、という呼び方は、今になれば正しいものなのかどうかもわからない。
 ヴォラスを崇めていたのではなく、ヴォラスを慰めようとしていた人達の集まりだから。

「ああ、昨日手紙が届いた。リスヴェンに到着したと。どこの宿に泊まっているか書いてあったから、先ほど迎えに行ってきたんだ」
「そうだったんですね。わかりました、すぐ――いえ、着替えてから行きます。粉まみれなので」

 自分の身体を見下ろして苦笑する。
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