ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 家事をするのにエプロンはもちろん着けていたけれど、考え事をしながらだったから、今日は作業の手際が悪かった。粉を飛ばしてしまって、エプロンから出ている部分に粉がついている。

「外で待ってる。焦らなくても大丈夫だ」

 慌てて部屋を出て、衣裳部屋に飛び込む。焦らなくてもいいとは言っていたけれど、悠長に相手を待たせておくわけにはいかない。

「マル、お願い!」
「オッケー!」

 一瞬迷って手に取ったのは、近頃貴族達に会う時身に着けている服だった。白一色だし、わかりやすく聖女だと主張しているし、神官服の延長だと思えばいい。
 相手が、ヴォラスを慰める者なら、女神の代行者だと一目でわかった方がいいのではないだろうか。

(……私、やっぱり変なのかも)

 そわそわしてしまって、妙に落ち着かない。エドの声を聞いただけでこうなるなんて、絶対にどうかしている。
 移動の間もずっと、シアのドキドキは止まらなかった。この気持ちに、どんな名前を与えればいいのかわかる。わかっている、けれど――。

(もし、私が気持ちを告げたら、エドさんはどんな反応を示すんだろう)

< 260 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop