ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 移動したのは、王宮の中枢、政務に使われている建物であった。
 南の離宮に住ませてもらってはいるが、シアは本来この王宮で暮らすような立場にはない。政治にはかかわっていないから、この宮を訪れた回数はごくわずか。
 主の気質を表しているのか、きちっと整えられてはいても、必要に形式ばっている感じはせず、居心地のいい雰囲気だ。

「聖女に会いたいと言うから、面会の場は設けるとは言ったが、準備ができるまで待つようにと話したはずなのだが?」

 来客と面会するための部屋に入るなり、エドは腕を組んでイドリスを睨みつけた。とっても機嫌が悪いと顔に書いてある。

「えー、だって、待ちきれなかったんだからしかたないだろ? 早くシアに会いたかったんだもん。だいたい、なんでいつの間にこっちに引っ越しをしているのさ。僕に連絡もよこさずに」

 年齢に見合わない幼さを見せ、イドリスはぷぅぷぅとむくれた顔になった。

「それは、いろいろとあったから……連絡できなくてごめんなさい」

 しばらくの間、イドリスと連絡が取れていなかったのも事実。事前に引っ越しすると連絡をすることさえできなかった。
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