ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 さすがに天使を連れていると知らせるわけにもいかないので、マルはシアのペットとしての扱いで宿に入っていた。羽根を隠してしまえば、ただのハムスターにしか見えない。

「天使がここにいるって知らせるわけにもいかないしな。マルがいてくれるから、いつもほどピリピリしないで済むんだぞ?」
「それなら、いいんだけどさあ。シアのことは任せてくれていいよ。イドリスの方も」
「そうか」

 おやすみなさいと言い残して、シアが隣の部屋に戻っていく。ゆっくり話をする機会がないのは残念だと少し思った。
しばらくして、ヨアキムが戻ってくる。

「どうだった?」
「怪しい気配は見当たりませんね。イドリス様に会いたいと申し出た者達がいるようですが、宿の主に断られていました」

 リスヴェンでは噂程度だが、ルイダーン王国との国境に近いこのあたりでは、イドリスの名はよく知られているようだ。

「あいつ、なんの目的でシアに近づいたんだろうな」
「――求婚のためでは?」

 ヨアキムの眉間に皺が寄っている。シアのことは認めていないくせに、他人がシアに近づくのはいまいち面白くないらしい。ヨアキムも難儀なやつである。

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