離婚前提から 始まる恋
「実はね、私には学生時代から付き合っている彼がいるんですよ」
「ええ?」

びっくりした。
さすがに全く想定していなかった。

「自分のやりたいことがあって、その夢に向かって真っすぐに突き進む人なんです。だから私も負けないように仕事をするんです」
「素敵ですね」

なんだか憧れるな。
私もそういう生き方がしたかった。

「このことを知っているのは勇人だけなんです。だから秘密にしておいてくださいね」
「はい」

はじめて里佳子さんの素の部分を覗いたようで、私はうれしくなった。
考えてみれば里佳子さんだって普通の女性。
いくら仕事ができて優秀でも、1人が寂しい時もあるだろうし、泣きたいときもあるはず。
そう思うと、今までの恨めしい気持ちは消えていた。

「花音さん、本当にごめんなさい。今日はそれが言いたくてここまで来ました。さすがに勇人の前でこんな話はできないので」
「そうですね。話してくださってありがとうございます」

今までの悩みが消化できたことがうれしくて、私も里佳子さんにお礼を言った。

里佳子さんの彼氏かあ、一体どんな人だろう。
とてつもなく器の大きな人のような気がするけれど、今は聞かないでおこう。
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