離婚前提から 始まる恋
ことの発端はついさっきかかってきた兄貴からの電話。
普段はメールのやり取りが多くて、あまり電話なんて掛かけてこない兄貴からの電話に嫌な予感はした。
恐る恐る電話に出ると、予感は的中。
それは、花音が仕事中に倒れたとの連絡だった。

『過労らしい。今医務室で休ませているから気を付けて来い』
どうやら急病でじゃないことにホッとはしたが、花音の顔を見るまでは安心できなくて飛び出してしまった。

それにしても、倒れるほど無理して仕事に行った花音に腹が立つ。
もちろん仕事を持つものとして当然の使命感だったのかもしれないが、もう少し自分を労わらないと・・・

ピコン。
今度は里佳子からのメッセージだ。
『常務と連絡が取れました』

よし、会議はこれで大丈夫だろう。
静かに怒りをたたえる里佳子の顔が目に浮かぶようだが、今はどうしようもない。
まずは花音の無事を確認するのが先だ。
< 35 / 233 >

この作品をシェア

pagetop