離婚前提から 始まる恋
その後、私は勇人に抱えられて寝室に向かった。

「抱いてもいいか?」
「ええ」

手際よく私の服を脱がせ下着も外した勇人は、自らも素肌になって私を組み敷いた。

こうやって体を重ねるのはいつぶりだろう。
確か・・・3月の結婚1年目の記念日以来だわ。

「考え事は禁止」
耳元でささやいた後、耳介を唇で攻め始める勇人

「あっ、んっ・・・」
くすぐったくて時々電気の走るような感覚に思わず声が漏れる。

「花音の匂いがする」
「え?」

そう言えば一日動いていて汗だってかいているから・・・

「待って、せめてシャワーを」
「だーめ、今日はこのままでいい」
「そんな・・・きゃっ」

話しているうちに、勇人の唇が首筋から鎖骨へと移る。
その間にも器用に私の体の上を動き回る手。
初めは恥ずかしくて声だって我慢していたけれど、そのうちに羞恥心も消えた。

「あ、ぁっ・・・」
体中を這いまわる勇人の舌が触れるところ全てに反応してしまうし、優しくなでられるたびに全身が熱くなり、自分の物とは思えない声が寝室に響いている。

勇人しか男性を知らない私にはこれが普通なのかどうかはわからないけれど、私にとっては幸福な時間でしかない。
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