離婚前提から 始まる恋
元々大学のサークル仲間だった里佳子は、その容姿からかなり目立った存在だった。
切れ長で涼しげな眼もとに、スッと通った鼻筋。
美しいとしか表現のしようがないような整った顔。
普段からあまり感情を出さないのもミステリアスで、男子の間では常に人気があった。

『今日は休日ですからね。間違っても出社しようなんて考えないでください』

うっ、見抜かれていたか・・・

今でこそかる口を叩くようになった里佳子だが、出会って数ヶ月は口もきいてもらえなかった。
もちろんそれは里佳子ばかりのせいではなくて、あまり社交的ではない俺の性格も関係してのことだったと思う。
余計なことは語らず無愛想な俺と、無口で大人しく女子のくせに群れることをしない里佳子。
きっと俺たちは似た者同士だったのだろう。
メカ好きなところも、合理主義で感情に流されないところもよく似ていた。
だからかな、親父の会社に入り三朝建設の副社長に就任するとき、「誰か信用できる人間を秘書にするといい」と言われ思い浮かんだのが里佳子だった。
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