国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
9.メナードと対決
「この辺りにいます」

5日目に入った街でジュリアンがノアの形跡があると言った。

ジュリアンはノアに色々な身を護る方法を教えていて、拉致された時には道すがらにノアの色を残しておく方法を教えていた。

ノアの色は限りなく海に近いブルーで、そこには匂いもあり、魔術師にはわかるらしい。

「彼は賢い子ですから冷静に残していますね。それにこの痕跡に魔術師なら気づくはずですからおそらく敵に魔術師はいないでしょう」

3人でその痕跡をひたすら辿る。

「こっちです」

アドルフは自分に魔力がないことをこれほど腹立たしく思っとことはない。

今までは我が身だけ案じていればよかった。だから、優れた頭脳と並外れた運動神経さえあれば切り抜けてこれたのだ。

だが、息子が危機に陥っている今、息子を助けると言う意味においてはまったく我が身を護る力など…取るに足らないものだった。
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