国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「まぁそんなに早く?」

「ああ。ブラッドリーもようやくこちらに入れたし、彼にもその日に公爵位を叙爵する。早く公務に入ってもらいたいからな。君も即位式以降、公務に携わってくれ」

「わかりました」

「それと、即位式のドレスは俺に送らせてほしい。二週間しかないからなかなか手の込んだものはできないが、仕立て屋が明日くるはずだ。イヴ。よろしく頼む」

「かしこまりました」

イヴがうやうやしく頭をさげる。

「それともうひとつ。お願いがある」

「何でしょう?」

「俺にも…その…ラグを作ってもらえないか?」

「は?」

癒されたいということだろうか?
そりゃ今のアドルフは寝る暇もないくらい忙しくはしているだろうけれど…。

「はい。わかりました。時間はかかりますけれど」

「ああ。いつになってもいい。キミの…作ったものであれば」

最後のほうはもそもそと口の中でつぶやいていたので、オリヴィアには何を言っているのか聞こえなかった。

一国の皇帝が体調を崩したら大変だもの。治癒力をフルに刺しこまなければね。
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