罪と愛
「ただ,先輩を探してたからです。興味を持つような嘘のストーリを練って,ひたすらツテや地位を確立して」
「もしかして…今までずっと探していたの? 私を??」
「そうです。見つけるだけでなく,招き入れて貰わなくてはいけないと思ったから。まさか最初に出会った気弱な男性が1番の近道だなんて思わなかったから」
…気弱? 誰のことかしら。
「俺が声をかけた人です。あなたと親密そうだった」
「あぁ,彼のこと。確かに彼だけはただの客で,友人で,何の騙しもかけていない…奥さんとやらは,本当に彼を探していたの?」
彼とはあれが最後だった。
まぁ,いいのだけど。
「いえ,1人で歩いていたのを捕まえて,呼んでくると座らせました」