罪と愛
「……そう? あなたとあの頃を基準にするならば,変わったと思うけれど。それを言えば,あなたも変わったわ。昔のあなたはは強引な真似なんてしなかったもの。それとも単に,私が今の私だからなのかしら」

「いいえ違います」



小鳥遊くんは,意外なくらいハッキリと否定する。

別にどちらでも良かったのに。



「昔はなにをするまでもなく,あなたは傍にいた。必要なかった。ただそれだけです。それに,あなたはやっぱり変わりません。特に,方向性は180度変わっても,素直で真っ直ぐな所が。例えば……訊かれたからと俺に本名を名乗る所とか」

「…私は私で変わる必要が無かったの。そう言えば知っていたのに……意地が悪い。結局,質問には答えてもくれないのね」
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