罪と愛
クルッと彼の手によって体が反転する。

うつむけになる私。

胸がぎゅっと潰れた。

ホックが下がるのを予感していると,彼から与えられたのは,私への賛辞。



「やっぱり黒のドレス,似合いますね」

「そうでしょ?」



自分で選び,今頃奥さんといる彼にわざわざ購入させたドレス。

刺繍と透けた胸元。

下へ向かっていくほど控えめに膨らむスカート。

今ではほんの少し捲れている。



「はい,とても」



かれは私の髪をそっと手で避けて,首筋へと口付けた。

ただ触れたのではない。

ガッツリと印をつけた。
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