エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
「もう知っていると思うけど、私赤ちゃんができづらい体みたいなの。でもね清貴が望んでくれるなら希望は捨てたくないなって」

「あぁ、そうだな」

 清貴は大きな手のひらで菜摘の髪をなでる。傷ついた心によりそってくれるやさしさに思わず笑みがこぼれた。

「ちゃんと治療をする。だから今日もこのまま。お願い」

 菜摘にとって清貴との行為は、彼に愛されることと彼の子供を授かれること。両方ともずっと望んでいたことだ。だから今すぐ彼を受け入れたかった。

「ありがとう、菜摘。こんなにうれしいことはないよ」

 優しく微笑んだ清貴は、ゆっくりと菜摘の中に入ってきた。大きく息を吐きそれを受け入れた菜摘はこれまで肌を重ねたどのときよりも、胸がいっぱいになる。

「愛してる、菜摘」

「わ……私も、清貴が好き、愛してるの」

 ずっと胸の中にあった彼への大きな愛情を、必死になって伝える。こうやって言葉や態度に愛を表せることに、大きな幸せを感じた。

 この日のふたりは、離れていた時間を取り戻すようにお互いを求めあった。そして互いに再認識する。お互いの代わりなど存在しないのだと。互いに互いを求めあう。まさにふたりは魂の片割れなのだと抱きしめ合う。

 随分遠回りしたふたりの愛が、入籍して一年たった今日この日、やっとひとつの形になり完成した。

 翌日ふたりは、吉峰に挨拶をして東京に帰ることになった。広島にきてからほとんど荷物はふえていなかった。ボストンバッグに荷物を詰めるとほぼ片付けが終わった。

 そのほかの大きな荷物は後日、業者を使って引っ越しすることにした。

「吉峰先生には大変お世話になりました。先生がヒントを与えてくださらなければまだ菜摘と会えていなかったと思います」

「加美君はもっと賢いと思っていたけど、随分時間がかかったね」

「めんもくないです」

 清貴が菜摘を見つける決め手となったのが、吉峰が主宰しているフリースクールのホームページだった。

 吉峰は菜摘が清貴から本当に離れたいと思っているようには見えず、そうであればなんらかのきっかけとなればいいと思い、彼女の後姿がほんの少し写っている写真をトップページに掲載していたのだ。

それを見つけるかどうかは、清貴次第。見事見つけられたのならば、彼自身もまた菜摘を手放したくないと思っているということだ。

「さしずめ私はふたりのキューピッドってところだね」
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