23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「……んーっ……」
ーーーー(……朝か?……)
ベッド横の窓辺から、朝日が差し込んで、俺は目を細めながら片目を擦った。そのまま、隣の美弥に手を伸ばす。
「えっ」
伸ばした先に美弥の温もりも姿もなく、俺は慌てて起き上がった。
「颯?起きたの?」
寝室の扉がカチャリと開いて、美弥が扉から顔をだす。途端にキッチンから、お味噌汁と焼き魚のいい匂いが、寝室の中に充満する。
「飯作ってくれたのか?」
美弥が、おずおずと寝室に入ってくる。
(やば……)
俺は思わず、掌で口元を覆う。
「うん……あとシャワーと……その颯のスウェット借りたから」
見れば美弥は、洗い立ての長い黒髪を揺らしながら、裾を、大きく捲り上げて、明らかにサイズの合わない俺のスウェットを着ていた。
美弥の頬が、ほんのり染まっていく。
「颯……あの……昨日は」
俺は、ベッドから起きて、美弥の目の前まで歩いていく。
「抱きしめていい?」
(好きな女のこんな姿、朝から見て、興奮しない男いんのかよ)