23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「や……待って、あのね」 

「美弥?」

俺は、美弥の名を呼んで、言葉の続きを促した。

「昨日は……寝ちゃってごめんね、あと、その……」

美弥は、俺の瞳をじっと見つめる。そして、小さな手を、ぎゅっと握りしめてから、意を決したように、口を開いた。

「あのね……キス、嫌じゃなかったから……」

俺の視線に耐えきれなかったのか、視線を落とした美弥を、逆にそれを抑えきれなくなった俺が、美弥を両手に包んで閉じ込めた。

「じゃあ、これから毎日キスするから」 

「えっ……」

「そんな可愛い事言われたら、俺、もうキス我慢しないから」

驚いて俺を見上げた、美弥のおでこに、俺は早速キスを落とす。

「は……颯っ」

美弥が、恥ずかしそうに視線を揺らした。

「ふっ……なぁ、このままだと、美弥食べたくなるからさ、早く飯食べていい?」

俺の言葉に、真っ赤な顔した美弥は、人形みたいに、こくこく頷くと、キッチンに小走りで駆けていく。

俺は、思わず笑った。こんな幸せだと思う朝は初めてだったから。
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