23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「はぁ……どうしようか……」

人の良い長瀬店長には、言えないが、やはりアルバイトでは、アパートの家賃月4万5千円を支払いながら、電気代、水道代、保険、スマホ代、食費……考えただけで、溜息しか溢れない。

おまけに、今朝、言われたばかりの大家さんの退去の件を思い出す。

(今月中ってあと3日しかないじゃない……)

「はぁ……シンデレラみたいに、誰か魔法かけてくれたらいいのに」

Tシャツにジーンズ姿の自分を眺めながら、そんな馬鹿なことを考える。そして決まって、銀行の貯金残高ばかりが、頭に浮かぶ。
 
アパート近くの小さな公園に、さしかかって私は歩く速度を早めた。

私は、コンビニでの勤務の後、此処に寄るのが日課になっている。こんな私を待っていてくれて、必要としてくれる唯一の小さな友達。

「えっと、今日のご飯は……」

長瀬店長から、手渡されたコンビニ袋には、賞味期限切れのサンドイッチと食パン、りんごジュースのパックに、牛乳パックが入っていた。

「あ!今日は、牛乳だ、ラッキー」

私は、公園の中にはいると、色のハゲたスチールの後ろを覗き込んだ。

「あれ?ミャー?ミャー?いる?おいでおいで……」

私は、しゃがみ込むと茂みに向かって、声をかける。ガサガサっと茂みから音がして、小さな影が飛び出してきた。
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