23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
第4章 王子様の嫉妬
俺は、シャワーを終えて、美弥が作って冷やして置いてくれたルイボスティーを流し込んだ。

「はぁ……」

俺は、さっきの電話の相手との会話を思い出して、目頭を押さえた。

(厄介な事になったよな……)

ふとダイニングテーブルを見れば、先程まで、美弥が、嬉しそうに眺めていた、ペンギンのぬいぐるみがなくなっていて、寝室の扉が僅かに開いている。

美弥が、大事そうに抱き抱えながら、ベッドに潜り込んだのが目に浮かんだ。

「子供かよ」

俺はルイボスティーを飲み干すと、リビングの電気を消し、寝室の扉を開けた。

今までは、広い寝室にベッドと、小さなデスクしか置いてなかった寝室には、美弥のモノが溢れている。

美弥の部屋から運んできたチェストの上には、美弥の両親の写真が飾られていた。

ーーーー亡くなった美弥の両親。

俺は、写真立てを手に取ると月明かりの中、それを眺めた。

「お母さん似だな……」

長い黒髪と、大きな丸い綺麗な瞳は、写真の中の美弥の母親と瓜二つだ。俺は、写真立てを元に戻すと、美弥の寝顔を覗き込む。
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