23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
颯も私の隣にしゃがみ込むと、大きな掌でそっとミャーを撫でた。

「あ、さっき俺みて威嚇してたクセに、綾乃さんがいると触らせてくれんだな」

私の膝の上で丸くなったミャーを撫でながら、ふわりと笑う颯に、私の鼓動は、どんどん早くなって息ができなくなりそうだ。

「で?名前聞いてんだけど?」

「えっと……美、弥」

か細く答えた声に颯が、切長の瞳を大きく見開きながら、私に聞き返した。

「え?それ猫の名前だろ?」

「あ……綾乃美弥(あやのみや)です」 

「美弥とミャーか」

颯の形の良い唇から、美弥という言葉が紡ぎ出されて、私の心臓は、一際跳ねた。

「あの、私……」 

「大丈夫だって、俺、悪いヤツじゃないからさ」

(ちょっと……悪いヤツじゃないって自分で言う台詞なの?)

綺麗な切長の瞳をにこりと細めながら、長い人差し指を立てると、大きな颯の掌が、私の手首を掴んだ。

「えっ……」

「ってことで、今から、ミャーも美弥も拾って帰るから」

目を丸くして固まった私を眺めながら、颯がニッと唇を持ち上げた。
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