溺れるくらいの恋を…君に
プールから帰ってからの水瀬は、やけにべったりだ。

ベッドで抱き合っている、二人。
夜は完全に更けてるのに、水瀬は止まらない。

「百合愛…はぁ…も…一回……しよ?」
「はぁはぁ…でも、身体が……もたな…」

「お願━━━━━━」
ググッと繋がる。
「んんっ!!?」
百合愛がのけぞって、繋いでいる手を更に握りしめた。


百合愛を抱きながら、水瀬の頭の中は冬臣の言葉で埋め尽くされていた。

“百合愛ちゃん、綺麗になったよなぁ~”
“手を握っただけ”

冬臣は、間違いなく百合愛に惚れかかっている━━━━

百合愛は、俺が見つけた“運命の女”

絶対に、誰にも渡さない━━━━━━━



「━━━━━んぁぁ…み…せく…だめぇ……」
自分に必死にしがみついて、ビクビクッと震え果てる百合愛。

こんな淫らな百合愛は、俺だけしか知らない。

「み……せく…」
「百合愛…」

「水瀬く…好き…」

こんな甘い声も、俺しか聞けない。

優越感でおかしくなる。
「俺も、スゲー好き……!」


そして、水瀬にしっかり抱き締められ眠っている百合愛。
目が覚め、もぞもぞと身動ぎした。
「ん…お水……」

水瀬を起こさないように、ベッドを降りようとする。
「百合愛」

「え?あ、ごめんね!起こしちゃったね」
「どこ行くの?」

「喉、渇いちゃって」
「ん。じゃあ、キッチン行こ」

「え?水瀬くんも、喉渇いた?」
「うん、まぁ」

キッチンへ行き、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。
その間、水瀬はずっと百合愛を後ろから抱き締めていた。

「はい、水瀬くんどうぞ?」
グラスに入れ、渡す。

「…………飲ませてよ。
俺、百合愛を抱き締めるのに忙しいから」
「え?えーと……」

百合愛はグラスを水瀬の口元へ持っていく。

「んーー!チゲーよ!」
グラスから顔をそむけながら言う。
「え…」

「百合愛。その水、口にふくんで?」
「え?う、うん」
一口、ふくむ。

すると、水瀬の顔が近づき口唇を重ねてきた。
そこでやっと“飲ませて”の意味がわかった百合愛。
口唇の隙間から、水が漏れて流れる。
首につたる。

「百合愛、えっろ!(笑)」

「だ、だって…////」
「でも、美味しかった!」

(いやいや、エロいのは水瀬くんだよ…//////)
百合愛は顔を真っ赤にして、水瀬を見上げるのだった。
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