green mist      ~あなただから~
 タクシーを降りて、彼を支えながらマンションの部屋に入った。ドアを閉めると同時に、彼に抱きしめられた。

「戻ってきてくれて良かった…… もう、会ってくれないかと思った……」

「何を言ってるんですか? 少し時間が欲しいって言っただけじゃないですか……」

 背中に回っている彼の手に力が入った。


「嫌なんだよ、そういうの…… 距離を取られたような気がして…… 自分でも情けないと思うけど、香音が居ないと、どうにもならないんだよ……」


「真央さん…… 私も泣いてばっかりで、皆に心配かけただけでした…… 結局、時間が欲しいなんて言ったけど、気持ちなんて整理出来なくて…… ただ、真央さんに会いたいって思っただけ……」


「俺は、香音よりずっと大人だけど、間違える事もあるし、情けない事もある…… だから、これからの俺たちの事は、香音と一緒に考えて、答えを見つけていきたいんだ……」


「真央さん…… 私…… 自信が無くて…… 私と一緒にいると、真央さんの評価まで下がってしまうと思ったんです。でも、困らせてしまって、ごめんなさい……」

「俺もごめん…… 母の事は、本当に悪かったと思っている。だから、香音、約束してくれ、もう、俺から離れないって…… 俺も、約束守るから……」


「嫌です」

 暖かい彼の胸の中で、キッパリと言った。
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